You are currently browsing the tag archive for the ‘Rock/Pop’ tag.

cover

アイアン&ワインことサム・ビーム。大当たりした前作『キス・イーチ・アザー・クリーン』から2年。待望の新作が出ました。アルバムはこれで5作目かな。今回もすげえいいです。古き良きメロディ感覚とかポップな曲作りの切り口みたいなものを、伝統として採り入れるのではなく、時を超える永遠の方法論としてナチュラルに受け継ぐ個性がいてくれるって事実だけで、おじさんとしてはうれしくなってしまう。

前作では、どこか70年代の西海岸を思わせるハーモニーが印象的な「Tree By The River」とかが大好きで、ずいぶんリピートして楽しんだものだけど。今回はジェイソン・ムラーツあたりにも通じるライトなブルー・アイド・ソウル感覚漂う「The Desert Babbler」とか、エリック・カズとかアル・クーパーとかあの辺の人たちのニュアンスを思い起こさせる「Joy」とか、タイトルとは裏腹にブリージーな「New Mexico’s No Breeze」とか、心地よく味わってます。

ツボを心得たホーン/ストリングス・アレンジはロブ・バーガー。ディランさんちのトニー・ガニエも参加。サム・ビーム自身の曲作り/音作りのスキルもかなり上がった感じで。そういう変化を微妙にいやがる人もいるのかなぁ…とか思ったりもしますが。これは真っ当な成長ぶりってことで。歓迎しましょう。米国盤はノンサッチから、その他の国は4ADから。ぼくは高いノンサッチ盤買っちゃったけど、アマゾンへのリンクはお安い4AD盤のほうに貼っておきますね。5月には国内盤も出る予定。

ちなみに全曲試聴ありです。こちら(全曲試聴、終わっちゃったみたいです。残念)

広告

tenology
amazon.co.jp

バカだから。テレビが大好きで(笑)。お正月とか、特番が多くて昔は楽しかったんだけど。よく言われているように、時代とともに特番の存在感が変質してきちゃって。寂しい限りです。おっさん的ノスタルジアとしては、プロ野球選手vsお相撲さんの歌合戦とか、ああいうのがユルくてたまらなく好きだったんだけどなぁ…。あれっていつごろ終わっちゃったの? 阿部の松山千春あたりか?

まあ、いいや。なので近年の年末年始は日頃買いまくって聞いていなかった盤とかに改めて接する日々。このボックスセットもだいぶ前に入手していたのに全然箱を開けずに置いてありました。1972年、デビュー・シングル「ドナ」がリリースされてから40年を記念して制作された10ccの4CD+1DVD箱。ディスク1と2がシングル曲をほぼ年代順に並べたもの、ディスク3がアルバムからのベスト・セレクション、そしてディスク4がアルバム未収録シングルB面曲などレア音源集。DVDにはビデオ・クリップをはじめ、『トップ・オヴ・ザ・ポップス』『BBCイン・コンサート』などに出演した際の映像を満載。

10ccの場合、以前、日本企画で4枚組ボックスが出たことがあった。ずいぶんと昔のことなので、今となっては音質的にずいぶんと食い足りないものではあったけれど。未発表音源、レア音源も含むなかなか充実の内容だった。オリジナル・アルバム群のボーナス音源入り紙ジャケ化再発も何度か。このあたりを買い集めていた方としては、どうしたもんかな…という新ボックスだとは思う。ディスク1と2に収められたシングル曲にしても、ある曲はシングル・エディット・ヴァージョン、ある曲はオリジナル・アルバム・ヴァージョン。方針がよくわからない。別名義音源とか、ゴドリー&クレームの音源とかはいっさいなし。あくまでも“10cc”と名乗ってリリース/制作された音源のみにスポットを当てたアンソロジーだ。この辺、人によっては疑問に思うところかも。

でも、聞いてみたらリマスターの仕上がりがすごくよくて。さらに映像集。エリック・スチュワート、グレアム・グールドマン、ケヴィン・ゴドリー、ロル・クレームの4人によるオリジナル・ラインアップでのスタジオ・ライヴ映像もたくさん見ることができる。これはこれでアリでしょう。輸入盤がいいっすね。国内盤、値段が倍だから。

Prince From Another Planet / Elvis Presley

amazon.co.jp

明日、21日水曜日の夜はCRTエルヴィスまつり。今回は特に日本のロック・ファンに誤解されがちな1970年代エルヴィス・プレスリーの歌声を爆音で聞きたいなと思っているもんで。勝手に盛り上がってます。

1954年、19歳で地元メンフィスのローカル・レコード会社“サン”からデビューして。77年、42歳という若さで他界。エルヴィス・プレスリーのプロとしてのキャリアは、つまり23年間だ。これが果たして長いものなのか、短いものなのか。人によって感じ方はまるで違うと思うけれど。少なくともこの23年が、他のどんな表現者にも絶対に真似のできない、とてつもなく充実した23年だったことは間違いない。

50年代半ば、エルヴィスはブルース、ゴスペル、R&B、カントリーなど雑多な音楽要素を、雄大な才能と柔軟な感覚でまるごと呑み込み、凄まじいセンセーションとともにシーンに登場した。楽曲そのものはカントリー・ブルースといった手触りの「ハートブレイク・ホテル」、穏やかで牧歌的な「ラヴ・ミー・テンダー」、ハードなR&B「ハウンド・ドッグ」や「ワン・ナイト」、ニューオーリンズ・ジャズの方法論も取り入れた「冷たい女」など、様々なジャンルの楽曲がこの時期、若きエルヴィスの歌声にかかるとすべて新種の若者音楽“ロックンロール”へと昇華してしまった。

その後、58年に米陸軍に入隊し、ドイツでの2年の駐屯生活を経て活動を再開した彼は、前述したような様々な音楽性を再度ひとつひとつ分離させ、曲ごとにそれぞれの味を使い分けながら類まれなる“うまさ”を発揮し始めた。ロックンローラーとしての魅力はそのまま、カンツォーネをアレンジした「イッツ・ナウ・オア・ネヴァー」や「サレンダー」、カントリー・バラード「今夜はひとりかい」、ドイツ民謡をアレンジした「さらばふるさと」、クラシックを下敷きにした「好きにならずにいられない」など、幅広く、絶妙な歌心を聞かせるようになった。こうして普通だったら共存しえない“ロックンローラーとしての味”と“ポピュラー・シンガーとしての味”を見事に併せ持つ、まさに“キング”へとエルヴィスは成長していった。

そして60年代末から70年代。エルヴィスは誰にも真似できない彼ならではの雄大な“幅”はそのまま、同時にもう一度強烈に自らの本当のルーツを意識するようになった。この時期エルヴィスが取り上げたレパートリーは「プラウド・メアリー」「ポーク・サラダ・アニー」といった南部ロックンロールから、「君を信じたい」のようなポップ・カントリー、「この胸のときめきを」のようなカンツォーネ、さらに「見果てぬ夢」「マイ・ウェイ」のようなスタンダードまで、とてつもなく幅広い。が、そんな一見雑多な楽曲群を取り上げながらも、しかしこの時期のエルヴィスの歌声はどれもひたすらブルース的であり、カントリー的であり、ゴスペル的だ。まるで悲劇の旅立ちの日を予感しながら、その瞬間に向かって持てる力のすべてを自らの立脚点へとふたたび凝縮していこうとしていたのでは、とさえ思えるほどだ。

黄金の23年間を大ざっぱに分けるとすればこの3期間。今、21世紀の視点でこうしたエルヴィスの活動歴を振り返ってみると、時代時代のコンテンポラリーなシーンにもっとも刺激的な影響を与えたのは当然第1期。音楽的/精神的、両面でロックンロールという新スタイルの生成に直接、大きく貢献した50年代のロックンローラー時代ということになる。この時期のエルヴィスの影響に関しては今さら改めて語る必要もないだろうが。

とともに見逃してはいけないのが、最後のディケイド。こと音楽的な面で、この時期のエルヴィスがシーンに与えた影響は深い。まあ、世の中はサイケデリック・ロック、アシッド・ロック、ニュー・ロック、アート・ロックの時代。ウッドストック・フェスを頂点に、ロックで世界を変えられるんじゃないかという共同幻想が渦巻いていた。そんな時代にエルヴィスは派手なジャンプスーツに身を包み、ラスベガスを中心にディナーショー形式でコンサートしていたのだから。古い時代のミュージシャン代表のように思われていたのも仕方ない。

でも、そうした表層的な視点を捨てて、当時のエルヴィスが残した音源そのものに耳を傾ければ、彼が何を目指していたのか、見えてくるはず。特にライヴではジェームス・バートン、ロニー・タット、グレン・ハーディン、ジェリー・シェフという屈強の4リズムを核に、白人黒人混成の大コーラス隊とオーケストラを配した大編成バンドを従え、南部の伝統的なレヴュー形式の基本をポップ音楽の世界へと大胆に導入。今なお伝説として熱く語られるジョージ・ハリスンの『パングラデシュのコンサート』にせよ、レオン・ラッセルとジョー・コッカーが組んだマッド・ドッグズ&イングリッシュメンにせよ、エリック・クラプトンもぞっこんだったデラニー&ボニー&フレンズにせよ、ボブ・ディランのローリング・サンダー・レヴューにせよ、70年代、アメリカ南部に意識的な熱いまなざしを送ったアーティストたちが憧れたビッグ・コンボ編成の典型がここにある。

そしてスタジオ録音では、エリア・コード615に属していた顔ぶれを中心に、当時のナッシュヴィルの気鋭ミュージシャンたちとがっちりタッグを組み、彼の死後、80年代になってから新たな黄金時代を迎えることになるコンテンポラリー・カントリーや、90年代以降存在感を増したオルタナティヴ・カントリーのルーツとも言うべき躍動的なサウンドを作り上げた。

極端に言えば、デビュー直後から他界するまで、いや、他界してからもなお、アメリカのポップ音楽シーンはエルヴィスの手の中にあったということだ。そんなエルヴィスの最後のディケイドを象徴する伝説のマディソン・スクエア・ガーデン公演の模様を収めた強力な盤が出た。それが今回ピックアップした3枚組『Prince From Another Planet』だ。

1972年6月9日から11日まで、エルヴィスはテレビ出演以外で初のニューヨーク公演を行なった。会場はマディソン・スクエア・ガーデン。3日間で4回のショーが開かれ、8万人を動員。そのうち10日夜のステージがライヴ・レコーディングされ、アルバム『エルヴィス・イン・ニューヨーク(Elvis: As Recorded Live At Madison Square Garden)』としてリリースされた。60年代半ば以降、ポップ・シーンの最前線から姿を消し、主に映画を活動の場に据えていたエルヴィスだったが、68年に伝説のTVカムバック・スペシャル番組『エルヴィス』の成功を契機に再び生身の観客の前に復帰。69年からはコンサートを中心に新たな黄金時代を築いていった。そうしたライヴ活動が勢いに乗り始めた時期の記録だったこともあって『エルヴィス・イン・ニューヨーク』は大いに話題を呼び、アメリカでトリプル・プラティナムを獲得。全米アルバム・チャートで11位まで上昇した。

さらに、同じ10日の昼のステージも全編録音された。当初は未発表のままだったが、そこからいくつかの曲が死後、レア音源集のようなものに収められて登場。夜の部に負けないソウルフルなパフォーマンスがファンの間で話題を呼び、全編の発売が待ち望む声が高まった。そんな期待に応えるようにして、1997年3月、ついに昼の部の全貌が『アフタヌーン・イン・ザ・ガーデン(An Afternoon In The Garden)』としてリリースされた。

そんな伝説のマディソン・スクエア・ガーデン公演から40周年を祝って編まれた本アニヴァーサリー・エディションは、ディスク1に昼の部、ディスク2に夜の部のパフォーマンスを収め、さらにファンが撮影した当夜の模様を含む貴重な映像群を詰め込んだDVDを加えた感動の3枚組だ。

ライナーも素晴らしい。パティ・スミス・グループの一員としても知られるシンガー・ソングライター、レニー・ケイがこのライヴの意味、意義、背景、歴史的位置づけなどを見事に記している。音楽評論家の経験もある彼が、自らの地元であるニューヨークへとやってきたエルヴィスの姿を克明に綴った素晴らしいライナーだ。あ、ちなみに、国内盤にはぼくも文章を寄せさせてもらいました。すんません。レニー・ケイの素晴らしい文章を邪魔しないよう、曲目解説に徹してます(笑)。

Live in London / Randy NewmanCRT“スマイルまつり”もいよいよ明日。楽しみですが。CRTといえば、手前ミソながら先日のランディ・ニューマン・ナイトもかなり充実した回だったような…。

この人のことを語るとき、いつも持ち出す話だけれど。シンガー・ソングライターにも様々なタイプがいて。自分の心の揺らめきをそのまま自分のドラマとして表出するタイプもいれば、曲ごとに物語の主人公を作り上げて、その人物を演じるタイプもいる。ニューマンは後者の代表格。初期の代表曲「セイル・アウェイ」では、彼は奴隷商人になりきってアフリカ人を甘い嘘で欺く。「ロンリー・アット・ザ・トップ」では、フランク・シナトラをイメージさせる大物有名シンガーになりきり、美女と大金と喝采とに彩られた男の淋しさを歌う。「レッドネック」では偏見に満ちた南部白人になりきり、北部人を嘲る。「イン・ジャーマニー・ビフォア・ザ・ウォー」では、孤独な殺人者となり、動かなくなった少女の身体の傍らで川の流れを見つめる。「ショート・ピープル」では、発表当時アメリカの製造業に大打撃を与えた日本企業を憎む男にでも憑依したか、“背の小さいやつには生きる資格もない、愛する者もない”と冷徹に歌い放つ。「マリー」の美しいメロディに乗せて綴られるダメ/ヤバ男っぷりも凄み満点…。

そんな彼の持ち味の、けっこう深いところまで先日のCRTでは踏み込めたかなって感じもあって。クローズドな場所にみんなで集って、飲んで食って、音楽をサカナにあーだこーだ言葉を交わし合うのって楽しいなと思ったのでありました。

あの夜の復習編としても絶好のライヴ盤が出ました。2008年、当時の最新アルバムにあたる『ハープス・アンド・エンジェルズ』のプロモーションを兼ねてロンドンで行われたコンサートの模様。シンプルなピアノ弾き語り曲もあるけれど、メインはBBCコンサート・オーケストラをバックに従えてのパフォーマンス。全22曲。ファッツ・ドミノとアーロン・コープランドが同居する素晴らしいピアノ演奏もたっぷり楽しめるし、血筋を活かした流麗なストリングス・アレンジの粋も存分に味わえるし。やばい。

とともに、彼自身の渋く、深く、皮肉っぽい歌声で綴られる物語がしみます。デビュー・アルバムから『ハープス・アンド・エンジェルズ』まで、全キャリアをカヴァーする選曲。ニューマンがピアノ一本の弾き語りで自らの過去の作品に改めて接した“ソングブック・シリーズ”のライヴ版って位置付けでもいいような…。MCも聞き逃せません。どっかんどっかん行ってます。この夜の模様はBBCでオンエアされていて、そのときの映像もDVDとして付いてます。インタビュー映像もあり。買うしかないっ。

Ashes & Fire / Ryan Adams長らく更新していなかった時期に出た傑作アルバム。紹介しそびれてましたが。このほど遅れて国内盤が出たもんで。改めてピックアップしておきます。

カージナルズを解散したライアン・アダムスの新作。ルーツ・ロック、オルタナ・カントリー、ジャム・バンド系、ヒップホップ/エレクトロニカなど、アルバムごとに様々な表情を見せる人で。どれも彼そのものなのだろうけど。ぼくとしては、この人がウィスキータウンを解散後、ファースト・ソロ・アルバムで披露した、隙間を活かしたアコースティカルな音作りと、内省的な歌詞と、ずば抜けたメロディ感覚が魅力的に交錯するシンガー・ソングライターっぽい表情がいちばん好き。

で、今回、ソロ名義に立ち返ってリリースされたアルバムは、まさにそんなぼくの好みを満足させてくれる仕上がりだった。どこか物憂げで、アーシーな、ライアン・アダムスならではの“歌”が満載。穏やかなテンポ感のもと、ブルーな気分で空を眺めているような。でも、ブルーでいることでむしろ心が落ち着く、みたいな心象が淡々と綴られている。しみる1枚です。グリン・ジョンズがプロデュース。ベンモント・テンチ、ノラ・ジョーンズらが客演。テンチの手堅さはもちろん、ノラのピアノもよいです。かなり。

The Bridge School Concerts: 25th Anniversary Editionニール・ヤングが障害を持つ子供たちを支援するため、ペギさんとともに1986年から毎年開催し続けてきた“ブリッジ・スクール・ベネフィット・コンサート”も25周年。てことで、四半世紀の歴史を振り返る2枚組CD&3枚組DVDが登場です。

こういうのはやっぱり映像のほうが…と思ったら、CDとDVDで収録アーティストが全然違うのね。油断できない。CDに続いて、たった今、DVDのほうもポチッたところです(笑)。

ボブ・ディラン、ジェームス・テイラー、サイモン&ガーファンクル、トム・ペティ、パティ・スミス、デイヴィッド・ボウイ、エミルー・ハリス&バディ・ミラー、ボニー・レイット、プリテンダーズ、デヴェンドラ・バンハート、ビリー・アイドルなどはDVDのみの収録。ニール・ヤング&クレイジー・ホース、ノー・ダウト、ジャック・ジョンソン、ソニック・ユース、ウィリー・ネルソン、サラ・マクラクラン、バンド・オヴ・ホーシズ、トム・ヨーク、シェリル・クロウ、トニー・ベネット、CSN、ノラ・ジョーンズ、ジョナサン・リッチマン、ニルス・ロフグレンなどはCDのみ。どっちにも入っているのは、ブライアン・ウィルソン、ブルース・スプリングスティーン、エルトン・ジョン&レオン・ラッセル、REM、メタリカ、フー、デイヴ・マシューズ・バンド、フリート・フォクシーズ、パール・ジャム、ジリアン・ウェルチなど。

とにもかくにも、過去ブリッジのステージを賑わした多彩な顔ぶれによるアンプラグド・パフォーマンスが勢揃いだ。詳細チェックしていないけれど、iTunes でちょこちょこ出ていたものからのセレクションって感じもあり。でも、やっぱりパッケージ化されるとうれしいのは年寄りリスナーだからでしょう(笑)。すでにネット上でもすっかりおなじみと思われるトム・ヨークの「アフター・ザ・ゴールド・ラッシュ」のカヴァーが、やっぱり切なくてよいなぁ。

とにかく続ける、と。それがどんなに大変で、でも、どれほど大切なことか。思い知ります。

Revelator / Tedeschi Trucks Band痛快。爽快。楽器の“鳴り”一発でノックアウトしてくれるうれしいアルバムの登場だ。ギブソンSG、ファイヤーバード、テレキャスター、プレシジョン・ベース、ローズ・ピアノ、ハモンドB3といった、基本中の基本とも言うべき楽器群がダブル・ドラムから繰り出される強烈なグルーヴと3管ホーン・セクションに彩られながらいい音で鳴りまくる。テデスキ姐さんの歌声もますますかっこよく。デルタ・ブルースと、サザン・ソウルと、60年代ロックと、70年代ファンクとを有機的に融合した極上の躍動が21世紀に生まれたわけで。こりゃたまりません。

デレク・トラックスとスーザン・テデスキというルーツ・ロック・ファンの期待を一身に背負う最強夫婦が、ついに公式にバンドを結成。去年のフジロックを含め、ライヴや、お互いのアルバムでのちょっとした夫婦共演はすでに実現ずみだったものの、全面的な共演アルバムはこれが初だ。両者のファンがごく自然にもっとも待ち望んでいた1枚がようやく登場した感じ。オールマンズ人脈、デレク・バンド人脈、スーザン・バンド人脈が入り乱れるメンバーも腕きき揃い。11人編成という大所帯ぶりだけでも、なんだか頬がゆるむ。ゲイリー・ルーリス、オリヴァー・ウッド、ドイル・ブラムホールⅡ、デイヴィッド・ライアン・ハリス、エリック・クラズノー、ジョン・レヴェンサルらソングライター・クレジットに名を連ねる顔ぶれも魅力的。

まあ、日本の現状を思うとお願いしにくいことではありますが。このバンドでの来日、心から祈願します。離婚しないでねー。

Rock And Roll Joe / Chip Taylorツイッターがあるもんで、なんだかついついほったらかしの当ブログ。そういう人、多いみたいっすね。でも、せっかくあるんだからちゃんと更新してみようかなと、何度目かの反省をしました(笑)。またすぐほったらかしちゃうかもしれないけど。

で、さっそく本日の1枚。なんと、チップ・テイラーが最近ホームページをスタートさせて。コーネル・デュプリー、ハンク・ガーランド、ジェームス・バートン、エディ・ヒントン、スニーキー・ピート・クレイナウ、ジェームス・ジェマーソン、ホリス・ディクソン、ミッキー・ベイカー、イーヴィ・サンズ、ニッキー・ホプキンスなどなど、ロックンロール・ヒストリーにおいてけっして派手に語られることはないものの、重要な役割を果たした偉人たちに日々スポットを当て続けているのだけれど。それと連動する形でリリースされたのが2年ぶりの新作『Rock and Roll Joe』だ。

“A Tribute To The Unsung Heroes Of Rock N’ Roll”という副題通り、ロックンロール・ヒストリーにおいて“歌われることのない英雄たち”を讃える歌ぞろい。今年アタマの来日時と同じ、ヴァン・モリソンの初期のギタリストとしておなじみのジョン・プラタニアと、女性フィドラー、ケンドル・カーソンも全面参加してます。チップ・テイラー自体、表舞台で派手に持ち上げられることはめったになくて、紹介される際にはどうしても「ワイルド・シング」とか「エンジェル・オヴ・ザ・モーニング」とかの作者として語られることが多いわけで。ある意味、自らの存在をもこのテーマに重ねているんだろうと思うけれど。

こうした裏方さんたちのことを“ロックンロール・ジョー”と名付けて最大限の敬意を表明した表題曲のような新曲もあれば、ホリーズのカヴァーでおなじみ、もともとはイーヴィ・サンズに提供した「アイ・キャント・レット・ゴー」を軽やかにセルフ・カヴァーしていたりもする。しみます。じわじわ。

「したまちコメディ映画祭~萩原健太の音楽と笑い」へのご来場、ありがとうございました。谷啓さんへの追悼も含めて、みなさんと爆音でアメリカのくっだらない冗談音楽を聴いたり、マキタスポーツさんのごきげんなパフォーマンスを楽しんだり、劇場公開のなかった微妙な音楽コメディ映画2本を大画面で見たりできて、ぼくも本当に楽しかったです。

で、明日は毎月恒例、CRTです。「帰ってきたナイアガラまつり」。こちらでも、もちろん爆音で谷さんを追悼するパートを設けようと思っています。Twitterでも書いたことなんですが、かつて谷啓さんとは一緒にFM番組を作らせていただいたことがあって。谷さんが一人で多重録音した曲とかたくさん聞かせていただいたり。谷さんが好きなアメリカの冗談音楽について語っていただいたり。笑いに関してはもちろんですが、音楽に対しても貪欲で、勉強熱心で。本当に感激したものです。

もうひとつ告知なんですが。10月、ぼくのエルヴィス講座第2回でお世話になるお茶の水Woodstock Cafeで、なんとレイチェル・ファーロのコンサートがあるそうです。70年代にジョン・サイモンやエリック・ワイズバーグ、アーレン・ロス、ハーヴィ・ブルックスなどウッドストック派のミュージシャンたちのサポートのもと、素晴らしいアルバムを2枚残した女性シンガー・ソングライター。10月の5日(火)と6日(水)、それぞれ20人限定という夢のようなシチュエーションでのライヴだそうです。詳細はこちらをご覧ください。

というところで、今回のピック・アルバム。ロバート・プラントです。レッド・ツェッペリン・ファンにとってどうなのかはわからないけれど、プラントさんを中心に集結したこのバンド、われわれアメリカーナ系音楽ファンにとっては間違いなく衝撃のスーパー・グループ。アリソン・クラウスと組んで制作された07年の傑作『レイジング・サンド』のリリースを受けて行われたコンサート・ツアー“レイジング・サンド・レヴュー”にも参加していたバディ・ミラーがバンマスとなって、パティ・グリフィン、ダレル・スコット、バイロン・ハウス、マルコ・ジオヴィーノら名うてが勢揃い。プラント名義ではあるものの、音のほうはプラント一人が主役で他がバック・バンドというありがちな手触りではない。プラントだけでなくグリフィン、ミラー、スコットもヴォーカル・パートを分け合いながら、柔軟で躍動的なバンド・サウンドを繰り出してみせます。

取り上げている曲も実に興味深い。まずはロス・ロボスのカヴァーでスタート。続いて、リチャード&リンダ・トンプソン作品。ライトニン・ホプキンス作品に触発されたと思しきブルース。ミネソタのスロウコア・バンド“ロウ”のカヴァー。バーバラ・リンのテキサスR&B。ケリー・ブラザーズの南部ソウル・バラード。再びロウのカヴァー。トラディショナル・マウンテン・ソング。タウンズ・ヴァン・ザント作品。ウィリー・ネルソンも近作でバディ・ミラーをバックに従えてカヴァーしていたトラディショナル・ブルース。そしてセオドア・ティルトンが19世紀に詠んだ詩『王様の指輪』を引用したプラント版トーキング・ブルース…と、アメリカーナ色を基調に、ちょこちょこ英国風味をまぶした全12曲。

ティルトンを引用したアルバムのラスト曲は、どんな富も名声も過ぎ去っていくものだという内容。ここにツェッペリンでのプラントの数年間を二重写しにすることはたやすい。再結成ツェッペリンでの活動継続を断ってこのソロ・プロジェクトに取りかかったことや、ツェッペリン結成以前に在籍したサイケデリック・フォーク・バンドの名義を今回の新バンドに冠したことなど、すべてがやけに象徴的。『レイジング・サンド』の成功がこの人に与えた自信は、本当に大きなものだったんだな、と再確認です。

レイ・ラモンターニュの4作目、出ました。これまでずっとプロデュースをまかせてきたイーサン・ジョンズのもとを離れ、初のセルフ・プロデュースに挑戦。それだけに気合いが入ったか。なんと、バンド名義でのリリースです。

ザ・パライア・ドッグズと名付けられたバンドは、ジェニファー・コンドス&ジェイ・ベルローズという、まあ、ジョー・ヘンリーというか、矢野顕子というか…を思い出させるリズム隊に、エリック・ヘイウッドとグレッグ・リーズという二人のマルチ弦楽器プレイヤーが乗っかった4人組。名手ぞろいだけに、演奏は実に的確。全員、“生”な感触を大切に、こだわりに満ちた豊潤な音世界を作り上げてます。

コンドスのアンプラグド・ベースとベルローズのタイトなドラムがスリリングにうねるファンキーな楽曲もあれば、ペダル・スティールが切なく響くカントリー・ロック調のバラードもある。ジャジーなコードが印象的なマイナー・ミディアムもあれば、シンプルなハーモニカ演奏が印象的なストレートなシンガー・ソングライターものもある。夢を実現しようと聞き手を鼓舞するような曲もあれば、胸しめつける喪失感が充満するパーソナルな曲もある。でも、アルバム全体がとっちらかっているってわけじゃなくて。むしろ逆。統一感たっぷり。なにせラモンターニュの存在感あふれる、あのハスキー&ブルージーな歌声と、卓抜したストーリーテラーとしての手腕が全編を貫いているのだから。この人、デビューが遅かったこともあって、ファースト・アルバムを出した時点ですっかりオトナだったわけだけれど。以降もぐんぐん深みを増している感じ。

イーサン・ジョンズが手がけた前3作がどれも、さすが充実した仕上がりだったこともあって、この初セルフ・プロデュース盤に対してずいぶんと地味になったなというイメージを抱く方がいるかも。ただその分、そうか、自分としてはこうしたかったんだな、と。そんな内なる熱き思いがじわじわ伝わってきたりもして。なんとも味わい深い1枚です。

What’s New?

CRT & レココレ Present
Vol.196

秋だ! ELOだ! ボジョレーだ!〜ジェフ・リン解禁!

ブライアン・アダムス7年ぶりの新作をプロデュースしたかと思ったら、なんと15年ぶりに全曲新曲によるELOの新作まで登場! 秋の深まりとともに一気にジェフ・リンの動きが活発に。山が動いたとなれば、CRTも黙っちゃいられません。3年ぶりのジェフ・リンまつりを大開催! アイドル・レースからムーヴ、ELO、ウィルベリーズまで総まくりでお届けします。今年のジェフ・リンの味わいは豊潤で爽やか。飲んで、食べて、爆音・爆画面でマジカルなジェフ・リン・ワールドを堪能しましょう。解禁間もないボジョレーヌーボー、ご用意してお待ちしております。

2015年11月23日(祝) at 東京・新宿ネイキッドロフト
OPEN 17:30 START 18:30
※通常よりも1時間早いスタートです。ご注意ください。
出演: 萩原健太(音楽評論家)、祢屋康(レコード・コレクターズ編集部)、能地祐子(音楽評論家)
料金: 1600円(+1drinkから)
※ご予約・お問い合わせはネイキッドロフト店頭電話 & webにて。
【電話】03-3205-1556 (16:30〜24:00)
【web】 http://www.loft-prj.co.jp/naked/reservation/
※ご入場は当日の先着順になります。

★最新情報はCRTのtwitterfacebookで!



Nothing But Pop!
Disc Store

Kenta's...Nothing But Pop! で紹介したCDを一覧できるインスタントストアはこちら



Nothing But Pop!
on Live 365

Live365でネットラジオ試験運用中です。50年代後半〜60年代前半からセレクトした480曲以上のガール・グループ、ドゥーワップ、ティーン・アイドル、ダンスR&Bプログラムです。(2005.10.9更新)
listen!

Support this station and listen ad-free with Live365 Preferred Membership!

Daddy & The Surfbeats
萩原健太が在籍するサーフ・ロックンロール・バンド、ダディ&ザ・サーフビーツの最新ライヴ情報です。
(未定。決まり次第、お知らせします)
Kenta's Programs
萩原健太が出演/選曲する番組のご案内です。

萩原健太のMusic SMiLE(JRN系列各局 月〜金)
くにまるジャパン(文化放送)(*毎週水曜日の正午過ぎから始まる『洋楽ジャパンX』のコーナーに月一度のペースで出演しています)
2005年3月までぼくが月曜日のDJを担当していたミュージック・プラザ第2部ポップス/オールディーズ(NHK-FM)の超常連リスナー、滋賀県の野出康博くんによる番組の私設応援サイト "Radio Sweetheart" はこちらです。スタート以来、終了までの番組の歴史を、ぼく本人も忘れてしまっているようなところまできっちり記録してくれています。野出くん、ありがとう。



kenta45rpm@twitter

  • 本日のお散歩BGMはマントラ。14年にグループ創設者のティムさんが亡くなって。Mパクトのトリストさんが後を継いで初の新作。ハンコック(つーかUS3)、XTC、リッキー・リーなど相変わらず超ジャンルでキメてます。ティムさん独特の小粋… twitter.com/i/web/status/9… 1 hour ago
  • RT @nothingbutpop: Miles Davis & Bob Dorough / Nothing Like You (1966) RIP Bob Dorough... youtu.be/LdZTKvNXxPA Follow Kenta's @NothingB5 hours ago
  • 忠さん、五輪さんの出演が、70年代初頭に青春を過ごした者にとっては超泣けます。日本のJTと日本のキャロル・キングがセクションと! Danny Kortchmar and Immediate Family 6月20日(水) Zepp… twitter.com/i/web/status/9… 7 hours ago
  • RT @nothingbutpop: Richard Carpenter feat. Dusty Springfield / Something In Your Eyes (1987 US AC #12) youtu.be/OJ4TiH6i-Ck Follow Kent… 17 hours ago
  • なんかヒザが超痛くて。散歩はお休み。病院へ。へこたれ気味な気分を盛り上げるBGMはシュギー・オーティスの新作。ソウル風味なし。カーマイン・アピスらと組んでハードに決めてます。「スウィート・サレンダー」って曲が入ってて、もしや…と期… twitter.com/i/web/status/9… 20 hours ago

Archive

旧版ブログはこちら、旧版ホームページは こちら からそれぞれ参照できます。

This Site

Kenta's
Nothing But Pop!

©Kenta Hagiwara



広告