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月も変わり、11月。単行本の執筆があったり、ラジオの特番があったり、いろいろごたごたしていたもんでブログをまたまた放置してしまいましたが。
11月も本来の原稿執筆以外に、あれこれイベントやら番組やらに出させていただくわけですが。中でも楽しみなのが、上越市にある築100年を超える日本最古の映画館、高田世界館で催される出前DJ。詳細はこちらのページで。近隣の方、お時間ありましたら応援にきてやってください。
去年は、そこでピーター・バラカンさんとピンポンDJをやらせていただきました。なんとも雰囲気のある会場で。いつものようにハードディスクを持ち込んで、かける曲はすべてその場で選ばせてもらったのだけれど。最後、映画館ということもあり、ニール・セダカが古き良きピンアップ・ガール/女優のベティ・グレイブルのことを歌った曲が急に聞きたくなって、爆音でかけさせてもらいました。ピアノ一本をバックに歌い綴るニール・セダカの歌声がなんとも切なく。会場の佇まいとあいまってなんだか泣けてきたことを覚えてます。
今回はノージと夫婦でうかがう「夫婦出前DJ」です。ノージと行くということは、いつも新宿ネイキッド・ロフトで定期的にやっているCRTの出張版という感じ。で、CRTといえば、最大の目玉企画が“ナイアガラまつり”。なわけで、今回の高田世界館は去年の大阪に続いて、出張版ナイアガラまつり第2弾! ということでお届けしようと思っています。
正規音源、レア音源取り混ぜつつ、大滝詠一という素晴らしいアーティストが残した音楽を大音響で楽しみましょう。今回も気は心…ってことで、ハイレゾにアップコンバートしてお届けする予定です。せっかく映画館ということもあるので、大の映画ファンだった大滝さんが好きだった映画音楽とかも聞けたらいいなと思ってますが、すべては当日の気分しだい。みんなでごきげんな午後のひとときにしましょう。
メールで予約して、当日、前売料金で入場できるシステムもあるみたいなので、ガッツある他県の方とか、いらっしゃいましたら、ぜひ。今さらですが、上越妙高って、北陸新幹線で東京から2時間弱なんですね。リンク先の告知ページのチラシ画像をじーっと見ると、左下のほうに問い合わせ先とかメールアドレスなど予約に関する情報が載ってますから、チェックしてみてください。
あと、CRTといえばジャンケン大会なわけですが(笑)。やりますよ。ナイアガラ・エンタープライズさんから素敵なプレゼントもいただきました。ぜひ会場にいらっしゃって、ジャンケン、勝ち抜いてください。
で、告知だけで何のCDも紹介しないのもナンですから(笑)。すでに出てしばらく経っちゃった盤だけど、ブライアン・アダムスの新作、ピックアップしておきます。昨年カバー集を出して復活を印象づけたアダムスさんだけど。全編新曲の新作となると、これが7年ぶり。絶品のしゃがれ声は健在だし、おなじみジム・ヴァランスとのソングライティングも快調だし、何よりもプロデュースをELOのジェフ・リンに任せたことが大正解。これまで以上に60年代色を強調しつつ、痛快に、簡潔に、キャッチーに、そしてここぞというところでぐっと切なくキメている。いかしてます。
オフィシャル動画のある収録曲も多いのだけれど、アルバムの中でぼくがいちばんハマった曲のオフィシャルオーディオにリンク貼っておきます。
アラバマ州アセンズ出身のブルー・アイド・ソウル・シンガー。現在はナッシュヴィル本拠らしいけど、アラバマ州マッスル・ショールズへと出戻って名門フェイム・スタジオで録音されたデビュー盤。なっかなかいい声でソウルフルなパフォーマンスを聞かせてくれます。
スタージル・シンプソン、ジェイソン・イズベルらを手がけてきたデイヴ・コブのプロデュース。曲によってジャッキー・ウィルソンのようだったり、オーティス・クレイのようだったり、ヴァン・モリソンのようだったり、ジョー・サウスのようだったり、ザ・バンドのようだったり…。
ジョージ・ジャクソンのカヴァーが1曲。あとは本人の自作曲。ソングライターとしてもなかなかイケてます。
シンガー・ソングライターというと素朴に、ナイーヴに、非商業的に、私的な体験をナチュラルなアコースティック・ギターに乗せて歌う、みたいなイメージがあるけど。当然ながら、それが聞き手という他者との関係の中で一定以上の力を持つためには、底辺にプロの表現としての完成度を備えていなければならないわけで。
だから空前のシンガー・ソングライター・ブームが巻き起こった70年代初頭、次々とシーンに登場してきたシンガー・ソングライター群はあっという間に淘汰された。私的告白もすぐに種が尽き、多くが袋小路へと迷いこんだ。生き残れたのは、プロとしての豊かな表現力と音楽性を有する一握りの者たちだけ。ジョニ・ミッチェル、ポール・サイモン、ニール・ヤング、ジャクソン・ブラウン、キャロル・キング…。
そしてこの人、われらがJT、ジェームス・テイラーだ。紡ぎ上げた歌詞を愛でるように歌い綴りながら、語り手の私的な物語を聞き手それぞれの物語へと生まれ変わらせてしまうストーリーテラーとしての力量も、洗練されたテンション・コードも軽々弾きこなしつつ、生ギター1本でジャズの洗練や、ラテンの躍動や、クラシックの荘厳さや、R&Bのファンキーさまで表現してしまう演奏技術もずば抜けている。ソングライターとしてだけでなく、ミュージシャンとして、あるいはシンガー、ストーリーテラーとしての力が並じゃない、と。だからこそブームが過ぎ去ったあとも、JTは現在までえんえん根強く支持され続けてきたわけだけれど。
新作、出ました。このところ、カヴァー集とかクリスマスものとかライヴとかばっかりで、書き下ろし中心のアルバムとしては02年の『オクトーバー・ロード』以来13年ぶり。とはいえ、卓抜した生ギター演奏を中心に据えた繊細な音像のもと、独特の穏やかな歌声で、どこか屈折した私的物語を淡々とつづる姿勢は往年と何ひとつ変わらない。ただ、どの曲にも67歳を迎えた者ならではの年輪が加わり、より豊かな表現を楽しめるのがポイントだなぁ。
73年の初来日のとき、どうやってギターを弾いているのかわからない部分を解明したくって、6本線を引いたスケッチブックと双眼鏡を抱えて、連日、コンサートに通いつめた高校生時代の気分を鮮烈に思い出させてくれると同時に、還暦も目前の今の自分の心持ちみたいなものにもリアルに響く1枚。たまらないです。うれしくて、アナログ盤も、ハイレゾも、全部買っちゃいました。ああ…。
ノージからその存在を教えてもらって以来、もうギターはうまいし、いい曲書くし、歌詞も内省的で深いし、ハーモニーもごきげんだし、知的でとぼけたMCも面白いし、問答無用でハマってしまったミルク・カートン・キッズ。これがたぶん4作目の新作アルバムです。
ロサンゼルス北東部にあるイーグル・ロック出身のシンガー/ソングライター/ギタリストふたり、ケネス・パッテンゲールとジョーイ・ライアン。それぞれソロで活動してきたものの、なかなか芽が出ず、2011年からは組んで活動中だ。でも、組んだのは大正解。サイモン&ガーファンクルなど、往年のフォーク・デュオをほうふつさせる瑞々しい音楽性にしびれます。
今回もこれまで同様、ふたり以外、誰もいない一発録りアルバム。悪かろうはずもなく…。
ロサンゼルスを拠点にセッション・ミュージシャン/ツアー・ミュージシャンとして忙しく活動するスティーヴォさん(ドラム&キーボード、ニューオーリンズ生まれ)とジンジャーさん(チェロ、シカゴ出身)によるスタジオ・プロジェクト。
オリジナル曲はもちろん、メリー・ジェーン・ガールズ、ローリング・ストーンズ、ボブ・マーリー、コモドアーズ、シルヴィアといったひねりの効いたカヴァー曲も交えつつ、40人近い西海岸系腕利きセッション・ミュージシャン/セッション・シンガー仲間の全面協力を得て、クラシック、ジャズ、ソウル、ブルース、ヒップホップ、ロック、ボサノヴァなど様々な音楽要素を交錯させながら編み上げた、なんとも魅力的な音世界。
スティーヴォとジンジャー、二人で仕事のあとにご飯したりしながらあれこれ話し合った夢を実現したものらしいけれど、アルバムへと結実するまでに5年くらいかかっているんだとか。まあ、趣味性の高い1枚ではあるけれど、時折こういうアルバムに出くわしたときのほのかな喜びは格別です。
ブライアンが新作のレコーディングにとりかかったというニュースが彼のサイトに載ったのはもう2年前。2013年の6月のことだ。その段階では、なにやらジェフ・ベックとの共演アルバムになるとか、2012年にリリースされたビーチ・ボーイズの50周年記念再結集盤の続編的組曲になるとか、いろいろ噂されたけれど。
結局、この形になりました。ロサンゼルス・ポップ・バンドの後輩キャピタル・シティーズのセブ・シモニアン、ファン.のネイト・ルイス、ポップ・カントリー系のケイシー・マスグレイヴズ、ズーシー・デシャネルとM.ウォードによるシー&ヒム、多重録音アカペラの第一人者ピーター・ホーレンズなど、若い世代のゲストを迎えつつのポップな1枚。もちろんビーチ・ボーイズ仲間、アル・ジャーディンやブロンディ・チャップリンも何曲かでリード・ヴォーカルを分け合っている。
まあ、詳しくは4月20日のCRTブライアンまつりであれこれ盛り上がりたいと思ってますが。ざっくり言うと、若いゲストを迎えた曲よりも、やっぱりアルとヴォーカルを分け合う曲のほうが仕上がりがいいというか、落ち着くというか。泣けます。ゲストものではシー&ヒムとピーター・ホーレンズとの共演曲が個人的にはお気に入り。もちろん、どの曲も、さすがブライアンと言うべき素晴らしい仕上がりで。唯一無比のコードワークやコーラスワークはもちろん、年輪を重ね、ぐっと枯れた歌声も胸を打つ。随所に『ペット・サウンズ』期を想起させるアレンジが顔を見せるのも涙腺を刺激する。
このアルバム、海外では13曲入りの通常盤と16曲入りのデラックス・エディションがあって。国内盤はそのデラックス・エディションにさらに2曲ボーナスを追加したものになっている。ライナーはぼくが書かせていただきました。
けど、実はライナーを書く段階では海外の通常盤、つまり13曲入りの音源までしか聞くことができなかったもんで。ライナーでは触れていないのだけれど。デラックス・エディションおよび国内盤に入っている「サムホエア・クワイエット」って曲。これ、65年にブライアンが名うてのセッション・ミュージシャンを集めて録音した名インスト曲「サマー・ミーンズ・ニュー・ラヴ」に歌詞をつけたものでした。愛奴もびっくりっすね。
やっぱブライアンはいいなぁ…。
え? JB? ジャクソン・ブラウン? とか。JT? たばこの? とか。そこからかよ…って経験はよくあるわけですが(笑)。あ、あと、エルヴィスの話をしていて、エルヴィスって、どっちの? って言われたこともあるな。エルヴィスはエルヴィスだろ。どっちのも何もねーよ。ひとりしかいねーよ。コステロはコステロだよ、とか心の中で毒づいたり。いやー、名前ってのはむずかしいものですが。
ブライアン・ウィルソンもね。近ごろはおひげでおなじみの野球選手がいたりするから、使う局面を間違うとめんどくさい。
中でも最高にややこしいのがポール・ウィリアムスだ。まあ、われわれの仲間うちでは当然、「オールド・ファッションド・ラヴ・ソング」とか名曲をたくさん生み出したシンガー・ソングライターのポール・ウィリアムスがいちばんおなじみなわけだけれど。テンプテーションズの一員だったポール・ウィリアムスもいるし、『クロウダディ』誌を創刊した音楽評論家のポール・ウィリアムスもいる。他にもSF作家、映画監督、陸上選手、サッカー選手など、様々な分野にたくさんのポール・ウィリアムスがいる。まあ、普通の名前なんだろうけど。ここまで同姓同名が多いと、いちいち肩書きつけなくちゃならなかったりもして、けっこうめんどくさいものだ。
そんなポール・ウィリアムス界をより一層ややこしくするかのように現れた、さらなるポール・ウィリアムス。ニュージーランドを本拠に活躍しているシンガー・ソングライターさん。宅録っぽいシンセ・サウンドでポップな曲を送り出し続けている。ぼくが初めてこの人を知ったのは2012年。『ライミン&ガーファンクル』って、くっだらない駄洒落タイトルを冠したミニ・アルバムをバンドキャンプで見つけて、あまりのアホらしさに入手してみたのがきっかけだった。以来、なんだか気になって、新作が出るたびに追いかけてきたのだけれど。
そんなポール・ウィリアムスくんの4作目にあたる新作ミニ・アルバムが出た。デビュー当初はラップもふんだんに盛り込んだ、わりとヒップホップ色濃い音作りの楽曲が中心だったのだけれど、作品を重ねるごとにその辺の味が薄れてきて、オールディーズっぽい甘酸っぱさをたたえたポップ・ソウル・チューンのほうが前面に押し立てられるようになってきた。今回はアルバム全編にわたってそっち方面の味を全開にした仕上がり。個人的にはこれまででいちばん好きかも。
名前、変えてくんないかなぁ…。無理か…。
やばい。新作『ノー・ピア・プレッシャー』から「ザ・ライト・タイム」のリリック・ビデオ先行公開! リズム隊がジム・ケルトナー&ドン・ウォズ。ヴォーカル/コーラスがアル・ジャーディン、ブライアン・ウィルソン、スコッティ・ベネット。
4月が待ちきれない…!
テキサス生まれ、ナッシュヴィル本拠の27歳。CRTではけっこうスター的存在のケイトリン・ローズのサポートをつとめたり、様々なカントリー系のシンガーに曲を提供したりしているシンガー・ソングライターの2作目が出た。なぜかイギリスで先行発売。アメリカでは3月のリリースらしい。
粗削りなバールーム・カントリーという感触も強かったファーストに比べると、かなりポップ寄り、それも60年代ポップっぽいニュアンスのアレンジが随所に採り入れられているのが新味かな。もろストレート・カントリーふうの曲もあるけれど、ロイ・オービソンあたりの影響を感じさせる曲あり、ポール・サイモンっぽい諦観ただよう曲あり、ロニー・ミルサップ調の毅然としたバラードあり、60年代のグレン・キャンベルを思い出させるポップ・カントリーあり。下に挿入したビデオクリップとか見ると、初期ニルソンのこともちょっと意識している感じ。そこはかとなく切なさをたたえた、愛と、罪と、赦しの物語たちだ。地味な1枚だけれど、じわじわしみる。
ケイトリンとの活動の中で知り合ったというジョーダン・レニングとスカイラー・ウィルソンがプロデュース。もちろん、ケイトリンのお守り役としておなじみの(CRTでは、ですが)スティーリズムの二人もがっちりバックでサポートしてます。