Joy in My Soul: The Complete SAR Recordings / The Soul Stirrers

去年出たL.C.クックのアンソロジーに続いて、同じSARレコードに残されたソウル・スターラーズとヴァレンティノズのコンプリート音源集が登場。そのうち、今回はソウル・スターラーズのほうをご紹介します。

スターラーズは、ご存じ、サム・クックやジョニー・テイラーを輩出した名門ゴスペル・グループ。結成はぐっと古く、1926年だ。30年代、40年代と活動を続けるなか、斬新なヴォイシングを導入したり、歌詞を即興で発展させたり、従来のゴスペル・カルテットのスタイルを大きく進化させつつ長年人気を博してきた。ぼくと同世代のロック、ポップス・ファンにとっては、1951年、当時まだ十代だったサム・クックがリードを担当するようになってからの音源がおなじみだろう。ただし、今回出たのはその後の時代の音源。

流れをざっくり整理しておくと。“悪魔に魂を売るのか”と激しく非難されながらもグループを脱け、愛を歌いかける対象を“神”から“女性”へと変えてポップ路線に転向したサム・クックに代わってジョニー・テイラーがリード・シンガーの座についたのが1957年。でも、サム・クックが在籍していたころの人気にかなうはずもなく。1959年、グループはレコード会社との契約を失ってしまった。そこで、古巣を救うために立ち上がったのがサム・クック。スターラーズのマネージャーでありソングライターでもあったJ.W.アレクサンダーと、創設以来の中心人物ロイ・クレインとともに、それぞれの名前の頭文字を並べたSARレコードを立ち上げ、ソウル・スターラーズと契約を結んだ、と。

その時期の音源を総まくりしたのが本CD2枚組だ。レーベルがスタートした1959年から、サム・クックが亡くなりレーベルが活動停止してしまう1964年までの間、スターラーズがSARレコードに残した2枚のアルバムの収録曲すべてと、アルバム未収録シングル、さらに未発表音源まで、全33曲が詰め込まれている。

もちろん、リードをとっているのはジョニー・テイラーと、曲によってはジミー・アウトラーなわけだけれど。大半をプロデュースしているのはサム・クックだ。それだけに、基本的には真っ向からのゴスペル集ながら、音作りは見事にポップでソウルフル。ばっちりサム・クックしてる。当時の彼がどんなサウンドを目指していたか、そのヴィジョンを検証するうえでも絶好の音源集だ。ボビー・ウーマックを擁するヴァレンティノズの盤ともども、サム・クック・ファンは見逃せないアンソロジーです。

そういえば去年の6月、ニューヨークでソウル・スターラーズ、見たんだっけ。まだやってましたよ。メンバー、誰が誰だか全然わからなかったけど…。