Hollywood / The Puppini Sisters往年のボズウェル・シスターズ、スリー・エックス・シスターズ、アンドリュース・シスターズ、フォンテイン・シスターズ、マクガイア・シスターズなどなど。ロックンロール以前の“シスターズもの”ってのは本当に魅力的。要するに女性コーラス・グループね。これが60年代にはロネッツとかシャングリラスみたいな“ガール・グループもの”になって、70~80年代にはラナウェイズとかゴーゴーズみたいな“ガールズ・バンドもの”になって、さらにTLCみたいなヒップホップ系のコたちも出てきて…。まあ、そんなふうに拡大解釈すれば、時代とともにその美しきコンセプトは継承され続けているってことになるわけだけれど。

でも、ロックンロール以前のシスターズもののフォーマットとか佇まいとか独特のハーモニー・スタイルとか、当時の在り方そのものも現代に受け継がれてほしいなと願っている者にとって心強い存在が、もろ往年のシスターズものの感触を現代へと甦らせ続けるロンドンの女性3人組、プッピーニ・シスターズなわけです。新作出ました。4枚目かな。いまだ企画性の高いユニットではあることは変わりないのだけれど、2006年のデビュー当時、本当に企画イッパツっぽい雰囲気だったころよりはそこそこ音楽性も深まって、仕込みも本格化。いい感じに仕上がってます。

『ハリウッド』というタイトル通り、今回はジョージ・ガーシュイン、コール・ポーター、ジョニー・マーサー、ヘンリー・マンシーニ、ハロルド・アーレン、レナード・バーンスタイン、ニーノ・ロータ、クルト・ワイルら往年の名ソングライターたちが映画/ミュージカルに提供した名曲群をあっけらかんとカヴァーしてみせる。ちなみに、唯一のオリジナルは冒頭を飾る表題曲。これも雰囲気ばっちりです。この人たち、クラシックス・フォーとかバリー・マニロウとかピヨンセとかブロンディとか、毎度意外な楽曲もカヴァーして楽しませてくれてきたのだけれど、残念ながら今回そのテはなしでした。

シニカルな批評精神に貫かれているとか、尖鋭的な現代のビートと融合しているとか、そういうわけではなく。浅いノスタルジーものじゃねーかと言われればそれまでの仕上がり。でも、浅いノスタルジーもの、けっこうじゃないすか。さりげなく入っている生ギターやバンジョーもいい感じ。「ムーン・リヴァー」の間奏のノコギリ・ソロも切なくて泣けます。