Black America Sings Lennon & Mccartney昨年出た『風に吹かれて~ブラック・アメリカが歌うボブ・ディラン』の続編。文字通り、黒人アーティストによるビートルズ・ナンバーのカヴァー集だ。今週、荒川強啓さんとの「サウンドキャッチ」で1日1曲ずつ紹介してます。お時間ある方はぜひチェックしてみてください。

ブラック・アーティストによるビートルズ・カヴァーというとスティーヴィー・ワンダーの「恋を抱きしめよう」とか、アース・ウィンド&ファイアの「ガット・トゥ・ゲット・ユー・イントゥ・マイ・ライフ」とか、ウィルソン・ピケットの「ヘイ・ジュード」とか、その辺がまず思い浮かぶけれど、そこは英Ace。そんな有名どころは各自聞きなさいということか。またまた細かいツボを突いたセレクションで喜ばせてくれる。

ある種こっちのほうがオリジナル・ヴァージョンとも言いたくなるアレサ・フランクリンの「レット・イット・ビー」とか、ビートルズにゆかりのビリー・プレストンによる「ブラックバード」とか、公式リリース・ヴァージョンよりも1分ほど長くシャウトしまくっているオーティス・レディングの「デイ・トリッパー」別テイクとか、このあたりだけが有名なところで。あとはロウエル・フルソン、リトル・リチャード、アル・グリーン、モーメンツ、ジュニア・パーカー、チェアメン・オヴ・ザ・ボードなどなど、興味深いカヴァーがずらり。ブルース版ビートルズ、スウィート・ソウル版ビートルズ、元祖シャウター版ビートルズなど、とにかく燃えます。

ディラン盤のほうは主に彼の歌詞にこめられた様々なメッセージが黒人パフォーマーを通していかに肉付けされているかに興味が向く仕上がりだったけれど、こちらは音楽的な興味を満たしてくれる感じだ。アメリカのR&Bに憧れ、コピーし、カヴァーしながら成長したビートルズ。それだけに、彼らのオリジナル曲の奥底には黒人音楽の要素をふんだんに詰め込まれている。その辺をぐわっと増幅して見せつけてくれるコンピだ。案外ジョンの曲よりポールの曲のほうが、実はR&Bっぽいのかも、とか。そんなことを改めて発見させてくれます。解説の日本語訳が付いた国内盤はMSIから。