レイ・ラモンターニュの4作目、出ました。これまでずっとプロデュースをまかせてきたイーサン・ジョンズのもとを離れ、初のセルフ・プロデュースに挑戦。それだけに気合いが入ったか。なんと、バンド名義でのリリースです。

ザ・パライア・ドッグズと名付けられたバンドは、ジェニファー・コンドス&ジェイ・ベルローズという、まあ、ジョー・ヘンリーというか、矢野顕子というか…を思い出させるリズム隊に、エリック・ヘイウッドとグレッグ・リーズという二人のマルチ弦楽器プレイヤーが乗っかった4人組。名手ぞろいだけに、演奏は実に的確。全員、“生”な感触を大切に、こだわりに満ちた豊潤な音世界を作り上げてます。

コンドスのアンプラグド・ベースとベルローズのタイトなドラムがスリリングにうねるファンキーな楽曲もあれば、ペダル・スティールが切なく響くカントリー・ロック調のバラードもある。ジャジーなコードが印象的なマイナー・ミディアムもあれば、シンプルなハーモニカ演奏が印象的なストレートなシンガー・ソングライターものもある。夢を実現しようと聞き手を鼓舞するような曲もあれば、胸しめつける喪失感が充満するパーソナルな曲もある。でも、アルバム全体がとっちらかっているってわけじゃなくて。むしろ逆。統一感たっぷり。なにせラモンターニュの存在感あふれる、あのハスキー&ブルージーな歌声と、卓抜したストーリーテラーとしての手腕が全編を貫いているのだから。この人、デビューが遅かったこともあって、ファースト・アルバムを出した時点ですっかりオトナだったわけだけれど。以降もぐんぐん深みを増している感じ。

イーサン・ジョンズが手がけた前3作がどれも、さすが充実した仕上がりだったこともあって、この初セルフ・プロデュース盤に対してずいぶんと地味になったなというイメージを抱く方がいるかも。ただその分、そうか、自分としてはこうしたかったんだな、と。そんな内なる熱き思いがじわじわ伝わってきたりもして。なんとも味わい深い1枚です。