なんだか気になるこのシンガー・ソングライター。アメリカーナ期待の新星って感じなのかなとは思うのだけれど。オフィシャルサイトはまだ工事中みたいだし。マイスペース見ても、なんだかウソばっかり書いてある感じだし。どうやらサンディエゴ周辺で超ローカルな人気を博している人らしく。それ以外、今のところどんな人なのか、あまり詳しいことはわからない。

カリフォルニア州フォンタナ生まれ。16歳でサンディエゴに移って、曲作りとかを始めたらしい。なんでも、トム・ウェイツがドアマンをしていたことでも知られるヘリテイジ・コーヒー・ハウスの深夜の部によく出演していたそうで。そのころ、トム・ウェイツが聞かせてくれたランブリン・ジャック・エリオットのレコードで人生が変わったというのだけれど。トム・ウェイツがドアマンしていたのって65年くらいだろ。パフォーマーとしてよく出演していたのも70年代前半だから、けっこうトシは行ってるのかな。年齢は50歳代半ばか…。新星とか書いたけど、ベテラン・ローカル・スターの遅すぎるアルバム・デビューって感じかも。

で、ジャケットの感じとかがやけに気になったこともあってアルバムを探してみた。フィジカル盤が見つからなかったので、ぼくはeMusicでダウンロード購入しました。いい感じ。特にアルバムの2曲目。「セイント・フランシス・ザ・ホーボー」って曲を聞いて、ぐっときてしまった。

いわゆるトレイン・ソングというか、レイルロード・ソングというか、そういう伝統にのっとった曲で。聖フランシスを名乗る老ホーボーとともに放浪する若者がいろいろな話を聞かされたり、老ホーボーの生き様を眺めたりする内容。アコースティック・ギター、ウッド・ベース、ドラム、アコーディオンによるシンプルながら存在感あふれる演奏をバックに、“誰かゴスペル・トレイン=福音の列車を呼んでくれよ。もうあまり時間が残されていないホーボーがここにいるんだ。そんな列車、ずいぶん長いことこの辺で見かけたことがないけれど…”とか淡々と歌われちゃうと…。いや、もっとよく聞き込まないと正確な歌詞はわからないものの。とりあえず今のところそう歌ってるようにぼくには聞こえて。泣ける。こういうタイプの昔ながらの音楽をあえて選び取り、その伝統を地道に受け継いできた者なりの真摯な思いのようなものが託されている気がして、やけに胸にくる。

この曲が好きになったもんで、他の曲もみんなよく聞こえちゃって(笑)。歌はあまりうまくないけれど、表現力はありそう。30年以上前、ガイ・クラークのアルバムに始めて出くわしたときみたいな、荒涼たる風景と切ない心象とが交錯する感触がよみがえってきたりも。クリス・ゴールドスミスがプロデュース。リリ・ヘイデンやヴィクトリア・ウィリアムスもバックに参加してます。

日本のiTunesからも買えるみたい。これです。興味のある方はお試しを。