バンド名義で17年ぶりの新作。そんなこともあって、真っ向から自らの重要なルーツであるブルースに正対した1枚だ。通常盤とスペシャル・エディションと出ていて、やっぱり4曲多いスペシャル・エディションのほうがお得。ハウリン・ウルフ、B.B.キング、オーティス・ラッシュ、ローウェル・フルソン、アール・キング、ジェシー・ヒル、ジミー・リード、ボビー・ブランド、エルモア・ジェームス、ルーズヴェルト・サイクスといった偉大なブルース/R&Bの先達の楽曲を中心に、ジミー・ヴォーンが94年にリリースした初ソロ『ストレンジ・プレジャー』の収録曲3曲を交えてカヴァーしまくっている。

この人のブルース解釈って、昔からけっこう独特のものがあって。うまく言えないのだけれど、あまりルーツ色を強調しないというか、レトロっぽくならないというか、渋くならないというか…。良くも悪くも、サイケでスペイシーでポップで。60年代サンフランシスコ流のブルース・ロックの色合いのようなものを常にたたえていて。わりと原典至上主義的な方向性をもって音楽に接してきたぼくのような者にとって、かつてはちょっと苦手なタイプだったりもしたのだけれど。

でも、そうは言っても70年代以降、新作が出るたびずっと聞き続けてきたわけで。おかげで、もはやスティーヴ・ミラーのブルース流儀ってやつがすっかりぼくの身体に入ってしまったのか。情がわいちゃったのか。実のところ、この新作を聞いて、かなり胸が躍りました(笑)。そうそう、これでなきゃ! とC調に盛り上がりすらしました。いいかげんなもんだな。何が苦手だったのか、今やもうわかりません(笑)。

というわけで、かっこいいです。のっけ、ジミー・ヴォーンの「ヘイ・イェー」のイントロからぶりぶり。ワウワウかまして必殺のギター・ブレイク。きたーっ!って感じ。ジミ・ヘンドリックスとの交流までぐーんとさかのぼることができそうな脈絡も感じられたりして。燃える。曲によってジョー・サトリアーニがゲスト参加してギター・バトルを展開したり、凄まじいことになっているのだけれど。何よりも、去年他界した旧友ノートン・バッファローの参加が泣ける。もちろんブルース・ハープも最高だけど、ミラーとバッファローとのタイトなハーモニーがねぇ…。まじ、70年代半ばのスティーヴ・ミラー・バンドって感じ。

ライヴ、見てぇ!