5年ぶり。先行で無料ダウンロードできた「ベイビー・リー」も含む新作の登場だ。「ベイビー・リー」、引っ込み思案なんだか厚かましいんだかよくわからない歌詞も魅力的なラヴ・ソングで。なんつーか、70年代半ば、それまで素朴な味で売っていたシンガー・ソングライターたちがもろもろの事情からポップなアプローチをしなきゃいけなくなって。で、しょうがねぇなぁって感じでポップな曲をむりやり作って。でも、それがすごくよくて…みたいな(笑)。あのころの感触を思い起こさせるフォーク・ロック調の佳曲。それを聞きながらアルバムのリリースを待っていたので、期待は高まっておりました。

「ベイビー・リー」はノーマンの曲だけど、ご存じの通り、ティーンエイジ・ファンクラブには他にもジェリーとレイというごきげんなソングライターがいて。今回もそれぞれに素晴らしい曲を提供している。ライヴではすでに披露ずみの曲も多いみたいっすね。ぼくはサマソニとか行かないので、今回が初聞きだったけど。

まあ、ぼくにとってティーンエイジ・ファンクラブというと、どうしても『バンドワゴネスク』なわけで。あれ出たとき、聞いて一発でハマって、すぐ自分のFM番組でかけたら、スタッフから「ヴォーカル、全然聞こえませんね…」って言われたっけ(笑)。もう15年くらい前の話になるのか。懐かしい。「ホワット・ユー・ドゥ・トゥ・ミー」とか「メタル・ベイビー」とか聞きたくなっちゃったな。むちゃくちゃポップでキャッチーな楽曲ぞろいなのに、なんかいびつというか、音像のバランスが崩れているというか。あの轟音ポップ感願望みたいなやつがぼくの中にはいまだ残ってはいるんだけど。

でも、あれも若さゆえというか。いつまでもいびつなままいるほうがウソっぽいというか。実際、ねじれ感がなくなったわけではなく。表層ではない、より深いところへと彼らならではのねじれ感覚が埋め込まれていった感触だし。今回のアルバムもそのあたりのバランスが絶妙な仕上がりだ。特にジェリーの曲に漂う、ちょっとした厭世観というか、諦観というか、行き場のなさみたいなものは相変わらず魅力的。この辺は年輪を重ねるごとに魅力を増している感じかな。切なく胸にしみます。